バック・トゥ・ザ・フューチャー
今は昔の話である。
「青春パンク」という音楽を僕は好んで聴くタイプの人間ではない。
ある時期、青春パンクバンドをしている先輩によくお世話になっていた時期がある。
冒頭の通り、その先輩のバンドの音楽も漏れなく僕の好みではなく、何となく仲良くしてくれてる気さくな近所の兄ちゃんみたいな存在だった。
そうこうしている内に、青春パンク兄ちゃんのバンドと対バンをする機会が訪れた。
面白いことを思い付く人で、
「その日のライブの最後にスペシャルアンコールという時間を作って互いのバンドの曲を1曲ずつカバーをしよう」って提案をいただいた。
「青春パンクかぁ、、、」って思いを隠しながら話をしていると何やらCDを渡して来た。
「このCDの中に今までの俺らの曲ほとんど収録されてるから聴いてみて」
そう言って解散した。
早速、帰路の車内で15曲収録のCDを聴いてみた。
もちろん、好みのジャンルではないので気持ちの良い感触はない。
ただ、その中で「これは良い曲だ!!!」
って思った曲が1曲だけあった。
不思議はなかった。この曲だけ青春パンクではなく、バラードなPOPSだったからある。
何故、こんな名曲を毎回のライブでしてないのだ。何故、リード曲にしないのだ。とパンク兄ちゃんに苛立ちさえする程の曲だった。
「自分のキーに上げてCD12曲目の曲やりたいです!貰いたいくらい好きです!」と先輩にLINEをして返信を待った。
「すげーマイナーなやつ。(笑) あげるよ。(笑)」
と返信が来た。
人の曲だ。もちろん、いらないし貰えない。
それに、簡単にこんな良い曲を捨てられる感覚の方がよく分からなかったのを今でも覚えている。
結局のところ、選曲が「暗い」という理由で却下された。
そして、当日のライブでは忙しいからカバーする時間がない。という理由で先輩のバンドの曲を僕らがカバーすることはなかった。
先輩のバンドは「Bye-Hi」をカバーしてくれた。飛び込みで俺も歌った。久々のピンボーカルで楽しかった。
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そして、時は今日に戻る。
新曲の制作で毎日 今まで聴いてこなかった昔の名曲やチャート曲を沢山 漁って聴いて勉強している。
今日は「Mr.Children」をシャッフルで聴いていた。
たまたま「抱きしめたい」という曲が流れた。
初めて聴いたはずの「抱きしめたい」のサビメロが完全に聴き覚えがあった。
そう、あの日 貰った15曲収録CDの12曲目のあの曲だ。
「あげるよ。(笑) 」
あの日のLINEがとても憎たらしくなった。
今はただただ、このブログが本人に届かないことを祈る。
Laughing Hick / ほりうちこうた